About Rinca

Rincaについて

小さな足跡 / Timeline
1995頃 祖母から編み物や手しごとを教わり、「ものづくり」の楽しさに出会う。
2021 こぎん刺しに出会い、伝統模様と手仕事の奥深さに魅了され、本格的に学び始める。
2023 熊本・高森を訪れ、草部吉見神社とのご縁をきっかけに、この土地での制作を決意。
2025 「Rinca」として本格的に制作・販売をスタート。日々の暮らしに寄り添うこぎんアイテムの展開を始める。

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「つぎはぎのマフラー」からはじまる

私のものづくりは、小さな「つぎはぎのマフラー」から始まりました。 幼いころ、祖母に編み物を教わりながら、家にあった毛糸をつないで夢中で作ったマフラー。 作れば作るほど長くなっていくそれに、幼い私は大きな達成感を覚えました。 目が増えたり減ったり、形はいびつで、色もバラバラなつぎはぎだったけれど、 祖父がそのマフラーを目の前で身につけて、「いいな」と笑ってくれた顔は、今も心に残っています。

高森と草部吉見神社との出会い

――時は経ち、熊本・高森を訪れたある日。 草部吉見神社を初めて参拝した瞬間、なぜか涙が止まりませんでした。 理由はわからなかったけれど、 心の奥に静かに触れられたような、見えない何かに導かれたような感覚。 「ここに住みたい」と、心から思いました。 それ以来、その神社は私にとって特別な場所となり、 この土地での暮らしは、ごく自然な選択でした。

「燐火 -Rinca-」が生まれるまで

そしてここから、「燐火」は始まりました。 日々の中で、無心に手を動かす時間は、今の私にとって欠かせない大切なひとときです。 幾何学模様の整った美しさに、心がすっと落ち着きます。 きっと、この場所とこの暮らし、そしてこの手しごとが 今の私に必要だったように―― あなたの毎日の中にも、そっと寄り添えるものを。

Rincaの想い

―凛としたかたちの奥に、温もりを織り込んで― 受け継がれてきた手わざを今に結び 内なる小さな声に耳を澄ませ ひと針、ひと織に想いを込めて あなたの琴線に、そっと触れますように。

Step 1

こぎん模様を描く

まずは、どんな表情の「灯り」にしたいかを考えるところから始まります。伝統的なこぎん模様や、そこから生まれたアレンジを組み合わせながら、小さな四角や線の連なりの中に、リズムや余白のバランスを探していきます。

Step 2

生地と糸の色を選ぶ

模様が決まったら、それをいちばん美しく受け止めてくれる生地と糸の組み合わせを選びます。ベースとなる生地、糸の濃淡やコントラストを見比べながら、「凛とした静けさ」と「日々に馴染むやわらかさ」が同居する色を選びます。

Step 3

ひと針ずつ、こぎんを刺す

下準備が整ったら、布目を数えながら、こぎん刺しを進めていきます。 同じ幅、同じリズムで糸を渡すことで、模様に芯が通り、手の跡が残るあたたかさと、端正さが同時に立ち上がってきます。

Step 4

革を選ぶ

出来上がったこぎんの雰囲気に合わせて、組み合わせる革を選びます。手触り、色味、経年変化の表情を確認しながら、こぎんの模様を引き立てつつ、長く使える相棒になる素材だけを選びます。

Step 5

パーツを裁ち、形を整える

決めたデザインに沿って、こぎんと革をそれぞれのパーツに裁断します。模様の出方、縁のライン、仕上がりの厚みを計算しながら、小さなずれも作品の印象につながるため、一つひとつ慎重に形を整えます。

Step 6

縫い合わせて、暮らしの道具に仕立てる

こぎんと革、内布やポケットなどのパーツを丁寧に縫い合わせ、強さと使いやすさ、見た目の美しさを確認します。 糸の始末やコバの処理まで終えたとき、ようやく「毎日にそっと寄り添うひとつの道具」として完成します。

こぎん刺しとは

こぎん刺しは、青森県津軽地方に伝わる刺し子の一種です。 厳しい寒さのなかで暮らす人々が、麻布を補強し、少しでも暖かく過ごすために生まれた生活の知恵から始まりました。 一針一針を重ねていくことで、布が丈夫になり、そこに独自の美しい幾何学模様が生まれていきます。

幾何学模様に込められた意味

こぎん刺しの模様は、三角形や菱形など、規則正しい幾何学の組み合わせで構成されています。 それぞれの図案には「健康」「豊穣」「魔除け」などの願いが込められており、暮らしを守るお守りのような存在でもありました。 かつては家ごとに好まれる模様があり、その人らしさ・家らしさを表すアイデンティティにもなっていたと言われています。

一針ずつ刻まれる「リズム」

こぎん刺しは、決まった目を数えながら、同じ動きを繰り返していく刺繍です。 急がず、無心に針を運ぶその時間は、日々のざわめきから少し離れて、自分と向き合う静かなひととき。 規則正しい模様が少しずつ立ち上がってくる様子は、小さな充足感と安心感をもたらしてくれます。

布を「長く、大切に」使う文化

もともとのこぎん刺しは、壊れやすい布を補強しながら、簡単には捨てず、最後まで生かすための工夫でした。 穴があいたところを刺して直し、薄くなった部分を重ねて補強し、暮らしの中で布と付き合い続ける――。 その精神は、今の「サステナブル」という言葉よりもずっと前から息づいていたものです。

現代のくらしに寄りそうこぎん

今のこぎん刺しは、伝統的な図案を受け継ぎながらも、色や組み合わせ、アイテムの形を変えることで、日常に溶け込むデザインへと広がっています。 名刺入れ、カードケース、ポーチ、財布など、毎日手に触れる小さなものに取り入れることで、そっと心が整うような存在になってくれます。

Rincaがこぎん刺しを選ぶ理由

均整のとれた模様の美しさと、その奥にある「暮らしを大切にする心」に、Rincaは強く惹かれました。 一目一目を重ねる時間、糸の表情、手ざわり――それらを通して生まれるのは、単なる模様ではなく「想いの積み重ね」です。 Rincaのアイテムにも、その静かな強さと、凛としたあたたかさが、そっと宿りますように。