「つぎはぎのマフラー」からはじまる
私のものづくりは、小さな「つぎはぎのマフラー」から始まりました。 幼いころ、祖母に編み物を教わりながら、家にあった毛糸をつないで夢中で作ったマフラー。 作れば作るほど長くなっていくそれに、幼い私は大きな達成感を覚えました。 目が増えたり減ったり、形はいびつで、色もバラバラなつぎはぎだったけれど、 祖父がそのマフラーを目の前で身につけて、「いいな」と笑ってくれた顔は、今も心に残っています。
高森と草部吉見神社との出会い
――時は経ち、熊本・高森を訪れたある日。 草部吉見神社を初めて参拝した瞬間、なぜか涙が止まりませんでした。 理由はわからなかったけれど、 心の奥に静かに触れられたような、見えない何かに導かれたような感覚。 「ここに住みたい」と、心から思いました。 それ以来、その神社は私にとって特別な場所となり、 この土地での暮らしは、ごく自然な選択でした。
「燐火 -Rinca-」が生まれるまで
そしてここから、「燐火」は始まりました。 日々の中で、無心に手を動かす時間は、今の私にとって欠かせない大切なひとときです。 幾何学模様の整った美しさに、心がすっと落ち着きます。 きっと、この場所とこの暮らし、そしてこの手しごとが 今の私に必要だったように―― あなたの毎日の中にも、そっと寄り添えるものを。
Rincaの想い
―凛としたかたちの奥に、温もりを織り込んで― 受け継がれてきた手わざを今に結び 内なる小さな声に耳を澄ませ ひと針、ひと織に想いを込めて あなたの琴線に、そっと触れますように。